対話は傾聴が9割。自分のスゴさをアピールしてばかりではいけない
皆さんも、外部の業者等の売り込みの場に立ち会った経験が一度ならずあると思います。相手にとってこちらが新規の見込み客だった場合、業者はウチは何ができて、こんなノウハウを持っていますと、自分たちの突出したポイントをこれでもか、これでもかと見せつけてきます。
しかし、それがこちらの課題をたちどころに解決してくれるジャストフィトしたものなら身を乗り出して聞きますが、そうでなければ、いくらスゴさをアピールされてもそれほど響きません。聞く振りはするけれど半分は耳を素通りしているはずです。
よけいな口出しをしていないか?
意気揚々として自分たちが開発した新しいシステムやら技術やらをパンフレットを広げて説明し、この病院の課題はここだからこうするべきですよ、と自信たっぷりに述べられたりしても、「そんなことはあなたに言われなくても分かっている」と心の中で憤慨してしまうこともありますよね。
これって、実は反面教師ような話なので皆さんも注意してください。
たとえば上司に対し、「ここが課題です」と進言してみたところで、「そんなことは、あなたに言われなくてもわかってる。よけいな口を出さないで」と口には出さずとも、心の中で思われているかもしれません。業務プロセスのほんの一部を詳しく知っているだけで、何を偉そうにと、良かれと考えて言ったことが、逆に反感を買うということもよくあるのです。
業者は自の突出した部分を売り込みたい、担当者に分からせたいと懸命に説明するのです。言わないと売れない、自分のポジションが確立できない、存在価値をアピールできないとでも言うように必死になりがちです。皆さんもそうならないよう気をつけてください。
私たちが、上司など決定権を持つステークホルダーと対峙する際、大切なのは自分の主張をこれでもかこれでもかとまくし立てることではなく、相手が聞く耳を持つような話し方をすることです、また、反対に、後輩や部下たちから何らかの進言なり意見なりを主張されたときは、じっと相手の話に耳を傾けることが大切です。
まずは、じっと耳を傾ける
部下や後輩から相談されることはよくあると思いますが、相手に十分に話をさせ、時には相手が気づいていないことを適切な質問を盛り込みながら引き出し、まずは悩みのポイントを明らかにすることが大事であることは心に留めておく必要があります。
自分の見識を披露するのは、相手の話を十分に聞いてからです
全体の対話の中で、相談する側の話す割合が8割から9割。聞く側が1割か2割。そのくらいのバランスを心がけてみるといいと思います。
つい、相談者より相談される側のあなたの方が多く喋ってしまっているという経験はありませんか。
最悪なのは、相手が話し終わらないうちに、あなたが自分の意見を押し付けようとしてしまうこと。
「ちょっと、待って!それはそうじゃないと思う」
強引にストップをかけ、持論をまくし立ててしまう。相手が部下や後輩ならば、まず例外なく黙ってしまうでしょう。
人間はほとんどの場合、自分独自の価値観や道徳や倫理観、そのような“観念”に従ってものを考えたり行動を起こしたりします。その観念に照らせ合わせて相手の言うことを理解しようとします。そして、相手が話をしている途中であっても、相手の主張がその観念と相容れないときは、「違う!」と反応してしまうのです。待っていられなくなるのです。
相手の言い分をとりあえずは全部聞くこと。たとえ、自分の観念とはかけ離れた主張であっても最後まで聞いて一旦は受け入れる。これを「傾聴の姿勢」と言います。
これでは二度と相談に来ない
企業の健診に力を入れているあるクリニックの事務長と部下の対話を見てみましょう。
部下「企業健診の契約を増やすためには、DMを定期的に近隣の会社に出した方がいいと思いますよ。たとえば、当面、都内の城東地区に絞ってニケ月に一度ぐらいは・・・」
上司「ちょっと待てよ。DMなんて効き目がないとおれは思うよ。それより地道に訪問活動して当院のサービスを面談して説明していった方がいいんじゃないか」
部下が自分のアイデアの具体的な方法を説明しようとする前に、話の途中で上司は一刀両断のもとにそのアイデアをつぶしてしまい、自分の思い付きを主張しています。
これでは、部下は二度とこの上司に頼みごとをしないでしょう。
部下のアイデアがたとえ検討に値しないものであっても、全部話を聞く前に否定してしまう。仮にあなたが上司にそれをやられたらどうでしょう。日頃、上司に対するリスペクトの気持があったとしても、それがたちどころに消えてしまうのではないでしょうか。
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