ワーク・エンゲージメントについて考える

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ワーク・エンゲージメントについて考える

コロナ禍で物理的にも精神的にも大きな打撃を受けた医療機関。まだまだ予断を許しませんが、このような時だからこそ、ワーク・エンゲージメントについて関心を向け、従業員の働き方や心のあり方を真剣に精査し、疲弊した職場の改善に取り組む必要があると感じます。

ワーク・エンゲージメントの定義

ワーク・エンゲージメントは、オランダのユトレヒト大学のウィルマ―・B・シャウフェリ教授が提唱した概念で、働く人々が「ポジティブで充実している」と感じる心理状態のことを言います。

「仕事に誇りや、やりがいを感じている」(熱意)
「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)
「仕事から活力を得て、いきいきとしている」(活力)

この「熱意」「没頭」「活力」の3つの要素が揃って、初めてワーク・エンゲージメントという状態が成立することになります。

また、この3要素は一時的な気の持ち方ではなく、持続的であり、自己の全般的な感情とモチベーションが仕事に向けられていることが必須条件となります。

一般的に、仕事の経験が蓄積され、年職位が上がってくるとワーク・エンゲージメントは高くなる傾向が見られますが、日本人は、たとえば欧州やアメリカなどと比べると、非常に低い傾向にあるようです。
どうしてでしょうか。これは日本人の性格によるものが大きいと考えられます。

よく言われることですが、日本人は「自己批判バイアス」が高い傾向にあります。つまり、自分に厳しく、自己能力を低く捉えがちです。よく言われる「自己肯定感が低い」というのが日本人に多い特質です。

反対に欧米人は「自己高揚バイアス」が高く、自分はできるんだ、と自らに言い聞かせ、気分を高める傾向が強いと言われます。これが、ワーク・エンゲージメントの高さに結びついていきます。

バーンアウト状態になっていませんか?

ワーク・エンゲージメントの対象概念として「バーンアウト」という状態があります。よく言われる「燃え尽き症候群」です。
当協会では、仕事に対する意欲を失くし、仕事が楽しくなく、エネルギーを注ぐ気になれない状態をバーンアウトと定義しています。バーンアウト状態では当然のことながら、仕事において、良いアウトプットを出すことが困難になります。

皆さんの職場に、このようなバーンアウト状態の人はいませんか?
あなたは、どうですか。大丈夫ですか?

ワーク・エンゲージメントを高めるには

ワーク・エンゲージメントが高ければ、職場全体に活気や明るさが満ちていきます。皆が主体的に仕事に関わり、業務効率の向上が図られ、さまざまな課題への取り組みも積極的になります。
マネージメントの視点で見れば、スタッフがモチベーション高くいきいきと仕事をしてもらうには、一人ひとりのワーク・エンゲージメントを高める必要があります。

具体的には、成長の実感を得られるような経験を多く積むこと。これが最も大切なことだと考えます。
そのためには、自分が働く場が、何でも言い合え、他人を受け入れる「開かれた職場」であることが前提条件となります。

それでは、今の職場をさらに「開かれた職場」にしていくためには何が必要でしょう?
私たちは、上司と部下、そしてスタッフ同士のコミュニケーションの「質の向上」と「量の促進」だと考えています。バーンアウト状態の従業員がいる職場は、ほぼ例外なく良質のコミュニケーションが図れていなくて、コミュニケーションの量も少なめです。

「確かに私たちの職場はコミュニケーションの量が少ないと思います。なんだか、雰囲気がギスギスしていますしね。授業員同士が本音を言い合って話をする機会を増やせば改善されるのでしょうか?」と先日、ある医療機関の管理職の方から質問されました。

この質問には「半分正解」です、とこたえました。
従業員同士が本音で話し合うのは、「いいこと」だと思います。しかし、相手が本音で話してきたときに、それを受ける側は、相手の意見を100%受け入れることができるでしょうか。おそらく、それができていないから「雰囲気がギスギス」しているのではないかと思われます。

まず、相手の意見を尊重する、それが良質なコミュニケーションを行う上での、基本的な態度です。仮に自分の考えと違っていても、まずは相手の意見を受け入れ、その後に自分の意見なり考えを示し、互いに納得したところで落としどころを探っていく。

相手への配慮を忘れずに自分の考えをしっかりと伝えることができる職場環境は、風通しの良い職場作りを産み出していきます。そして、ひいてはワーク・エンゲージメントが全体に高まり、従業員同士のチームワークも強化され、職場の全体能力が向上していきます。
そして、大事なのは、職場の仲間が成果を上げたときは、ポジティブなフィードバックを行うこと。具体的にどのようなところが良かったかを示しながら、褒めるところがあれば、しっかり褒める。それほど難しいことではありません。明日からすぐ、実行してみたらいかがでしょうか。
(医療コミュニケーション協会 須田)

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