Z世代の時代がやってくる②

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Z世代の時代がやってくる②

前回のコラムで、Z世代が背負う社会的な背景、これまでの世代とは異なる気質について触れ、「デジタルネイティブ」「個性尊重」「非競争」「SDGsへの関心」などのワードと結びつけて述べてきました。今回は、彼らへの育成のポイントやコミュニケーションの方策について検証していきます。
Z世代、育成のポイント
Z世代のキャリアデザインを考える上でポイントとなるのが、 一箇所に勤め続ける終身雇用の考えは希薄で、転職によりキャリアアップを図るのがスタンダードとなっているということです。その結果、医療業界に関わらず一般の企業でも、新人の定着に苦戦を強いられています。離職の原因として最も多く挙げられるのは、「上司との人間関係」です。さらには、入職後の新人教育担当を任された主任やリーダークラスなどの「先輩」との関係でも悩みを抱え、モチベーション維持ができないという事例も数多く聞かれます。そして、入職したZ世代社員だけでなく、受け入れるリーダークラスや教育担当も、互いに「どう接したら良いのかわからない」という状況になりがちです。

彼らのキャリア支援を考える上で、前回のコラムで彼らが直面する社会的背景を述べましたが、他の世代にはないVUCAの環境に晒されているということは心に留めておく必要があります(Volatility=変動性、Uncertainty=不確実性、Complexity=複雑性、Ambiguity=曖昧性)。正解がなく先が見えない状況に晒され続けた彼らが、異質な人々とチーム医療を実践せねばならないプレッシャーは常に感じているはずです。対して職場には、彼らの身上に寄り添って十分に支援できる余裕がありません。

「やる気が感じられない」は本当か

すでにZ世代の職員を採用している医療機関の管理職からよく聞かれる言葉に、「やる気が感じられない」というものがあります。
しかし、彼らにヒアリングしてみると、必ずしもやる気がないわけではなく、どうしたらよいのかがわからずに独り悩み、的確な指導を欲していることが窺えます。管理する側は、前述したVUCA社会に彼らが翻弄されている背景を理解し、受け入れる必要があります。

主体的に意見を述べたり行動を起こしたりが苦手な、内向的な傾向を感じさせる世代ではありますが、その気質が強みになることもあります。SNSを通して発信・受信に慣れ親しんでいることで、相手が求めることを汲み取る力に長け、オンラインでつながることが普通であるため、多様性を受け入れやすいという側面もあります。さらには、前回のコラムでも触れましたが、SDGsに前向きであることは、すなわちこれから医療機関が進んでいく方向性との親和性が高いと言えます。パーパスの実現や、選ばれる病院、多様性の重視、学び合いの精神、ウェルビーイングな勤務環境などが需要視される中、Z世代の価値観や強みが生かされていくことは間違いないでしょう。そう考えると、Z世代との共存・育成が、今後の医療ビジネスの成長を促すとも言えそうです。

「彼らはメモを取らないんだよね」
世代や育った環境の違う人同士が共存する職場で良い人間関係を築くためには、それぞれが、「自分達にとっての当たり前は、必ずしも相手の当たり前ではない」と自覚し、歩み寄る努力を惜しまないことが大変重要です。Z世代の新人を受け入れるスタッフが、心理的安全性のある職場環境を整えることで、組織全体の質の高まりが期待できます。

「彼らはメモを取らないんだね」
ある病院の事務課管理職の方が、Z世代の新入職員と話をした際、このような感想を呆れ顔で述べていました。
学生時代、オンライン授業が当たり前になっていた彼ら。資格取得の勉強なども倍速再生機能を利用し、教材動画を数倍速で視聴するのがスタンダードになっているのですから、彼らは何よりも「効率」を重視する世代と言って良いのかもしれません。
なぜ、メモを取らないのか。その理由を聞いてみると、「後で資料をいただけるんですよね」「ポイントはスマホにメモったので大丈夫です」といった答えが返ってきます。
体調不良で急な休みを取りたいときや、交通機関の乱れで遅刻をしそうな場合の連絡もLINEでするといった、彼ら以前の世代には驚きの行動も、「効率」を重視する彼らには当たり前のことで、「手早く状況を報告したい」という気持からくるものですから悪気はないのです。
「一般常識として、それぐらいは知っているでしょう」という思い込みは無くし、研修などを通して、「私たちが働く職場では、あなたたちの常識が通用しないルールもある」ことを丁寧に教え込むことが大切です。

「先に答えを知りたがる」という傾向も指摘されます。これもマイナスに取る必要はなく、全体像を理解した上で効率よく進めるにはどうする?という思考の癖がついていると解釈するべきです。仕事の内容や求める役割などは背中を見て学べ!というオールドスタイルのコミュニケーションだと、雰囲気を察する訓練を受けていない彼らは、どうしたら良いのかを判断できずモチベーションが保てません。
少し面倒ではありますが、「なぜこれをする必要があるのか」を言語化し、チームで同じ方向を向いていけるよう導くことがポイントです。応用力が高い彼らの特徴を活かし、定番のやり方を一通り指導した上で改善点を挙げるような指示を出すと、思ってみなかったアイデアを出してきたり、ルーチンワークとして凝り固まっていたやり方を思わぬ方法で改善するかもしれません。

Z世代は、仕事においても、プライベートな趣味などにおいても、やりがいを感じることを重視する傾向があります。最初のうちは、失敗が許される事案であれば、失敗を恐れずにどんどん挑戦させることが有効かもしれません。
安心安全な環境で、小さな成功体験を積み重ね、その成功が周囲にどんなプラスの影響を与えているかを伝えることで、所属する医療チームに対するエンゲージメントも高まっていきます。上司や教育担当者は、他のチームスタッフを巻き込みながら、心理的安全性を意識したチームビルディングを、これからは若いZ世代を中心に据えて構築することが肝になると思われます。

(医療コミュニケーション協会 須田)

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