相手の感情を無意識のしぐさや行動から読み取る

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相手の感情を無意識のしぐさや行動から読み取る

良好なコミュニケーションを形成するためには、その前提として、対峙する相手との間に信頼関係が築かれていることが重要です。いくらこちら側の立場や職位が上でも、有無を言わせないような命令口調や、上から目線で接していては、相手は次第に心を閉ざしていきます。また、何を依頼しても心から承服する気持になれないでしょう。「はい、わかりました」と口には出すものの、本当のところは納得がいかないという場合が多いのではないでしょうか。

ラポールとは?

コーチングやNLP(神経言語プログラミング)のセミナー、勉強会などに参加すると、対話を通して良好なコミュニケーションを図るためには、まずはラポールを築くことが大切であると語られます。
ラポールとはフランス語で「関係」を意味する語ですが、コミュニケーションの分野では「共感に基づく信頼関係」を指します。

ここで言う「共感」とは、「あなたの世界を尊重し、あなたと信頼関係を築きたい」という切実な想いが相手に伝わり、相手もその想いを受容する状態のことを言います。そして、「共感」によって相手と心理的な融和状態が築かれるのですが、それがすなわちラポールが形成された状態ということになります。

ラポールを築くためのコミュニケーションは多様ですが、一番のベースになるスキルが「傾聴」です。傾聴は文字通り相手の話に真摯に耳を傾けて聴く行為で、通常の「聞く」が、こちらが聞きたいことを聞く、つまり情報を得ようという「行為」なのに対し、「聴く」は相手が言いたいことを聞いていく「姿勢」のことだと理解してください。

なお、傾聴に関しては、当ホームページのコラム欄で度々採り上げていますので、併せてお読みいただきたいと思います。

日常の行動のほとんどが無意識で行われている

「傾聴」は相手が言いたいことを聞いていく「姿勢」だと述べましたが、それは、相手の言葉だけを聴くのではないという意味も含みます。
ラポールの関係を築くためには、意識的に発せられた言葉だけに耳を傾けるだけではなく、
相手の無意識に働きかける「深層アプローチ」も必要なのです。場合によっては、言葉よりも重要なことが「聴ける」かもしれません。

無意識に働きかける、とはどういう事でしょう?

私たちは、日常生活の「思考」や「行動」を常に意識しながら行っているわけではありません。それどころか、言動や行動の大部分は無自覚のまま処理しています。つまり、無意識のうちにゆだねられているのです。言い換えれば「自覚せずに自動処理」をしているということになります。
意識して行っている行動と、無意識による行動の対比は3対97(1対99という見方もある)ぐらいで、私たちの日常的な行動の大部分が無意識のもとで行われていると言っても過言ではありません。

相手と向き合う。言葉が発せられる。同時に表情や声のトーン、呼吸のリズム、眼の動き、姿勢、ジェスチャーなどにもいろいろな表情が表われてきます。それを注意深く観察する。それが「深層アプローチ」であり、キャリブレーションとも言われています。

NLPにおけるキャリブレーション

キャリブレーションは本来「調整する」といった意味で、たとえば印刷会社の現場で、色の微妙な調整を行う際などに使われる言葉なのですが、NLPの分野では、ラポールを築く上での基本スキルとして活用されています。

一言で言えば、「相手を観察して気づきを得る」スキルということになりますが、相手の言語や非言語の使い方に表われる無意識の領域を探り、それによって相手の心の状態を読み取るというものです。

たとえば、皆さんの職場の新人職員で、とても張り切りすぎて大丈夫かなと心配になる人がいたとします。

「そんなに毎日頑張って、疲れない?」と聞いても「平気です」と、決まった答えが返ってきます。そこで顔色や声のトーン、息づかいなどから相手が相当無理をしていることを汲み取れば「顔色があまりよくないね。少し休んだ方がいいよ」など、気づかった行動を取ることができます。

また、相手と重要な対話を行う際に、相手が鼻の頭にかすかに汗をかいていたり、時々目が泳いでいるのが見て取れれば、まだラポールが十分に築けていないという段階なのかもしれません。

キャリブレーションを行うには、五感を研ぎ澄ませて相手を観察することが求められますが、五感を研ぎ澄ませるとは、文字通り「見る(視覚)」「聴く(聴覚)」「感じる(触覚・嗅覚)」に集中することです。視覚であれば、顔の表情や、手の動き、眼の動き。聴覚であれば、声のトーンや言葉の抑揚、笑い声の質など。触覚・嗅覚であれば、匂い、触れた時の感触などを注意深く観察することです。

キャリブレーションによって、相手の今の精神状況を感じ取り、それに歩調を合わせ、共感の意を示します。そこで、相手が「真に心に感じていること」を話そうと向き合うようになれば、そこにはしっかりとラポールが築かれたと言っても良いでしょう。(医療コミュニケーション協会 須田)

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