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カルロス・ゴーン氏に見るトップダウン型リーダーシップの限界!

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カルロス・ゴーン氏に見るトップダウン型リーダーシップの限界!

日産のカルロス・ゴーン氏が逮捕されました。
ゴーン氏は経営センスの抜群な敏腕社長。今回の逮捕はさておき、様々な改革を推進したすごい経営者でした。本当はすごい人なのですが、失礼なことに実は私にはずっとちょっと怖い顔のMr.ビーンに見えていました・・・(笑)。

ゴーン氏の功績と「異国カリスマ」パワー

ゴーン氏は就任当時火の車だった経営を「日産リバイバルプラン」の敢行により、1年前倒しで売上高等を著しく向上させ、2003年迄の4年間で見事に2兆1000億円もの巨額の借金を完済、予定より早く目標達成しました。更に「日産180」をスタートさせ、連結売上高営業利益率10.8%を達成し、自動車事業実質有利子負債0を実現しました。

しかし、このカリスマ社長がもし外国人ではなく、日産育ちの日本人だったら・・・。これ程思い切った改革が断行できたでしょうか。永年続いた会社組織の中には、役職だけでなく経験や年齢、性格など微妙なパワーバランスが存在し、たくさんのしがらみや人間関係が複雑に絡んでいるものです。それ故に日産の様な大改革でなくても、身近な誰もが正しいと思う事や、より良いとわかっている事ですら実際に実行するにはとてつもないパワーを必要とします。

ゴーン氏の場合、言葉も目の色も違う外国人の社長のカリスマ的なトップダウンが功を奏し、日本人社長が成しえなかった「ゴーン・ショック」と言われる大改革を実現しました。しかし、ゴーン氏のような明確な、容姿や言語・文化の「ズバ抜けた異質」がなかったなら、同質性の高い日本社会でこれ程の実行力を発揮できたでしょうか。そして、私はここにきて「やっぱり」と思うのは、「トップダウン」というリーダーシップのあり方に限界が来たのでは・・・と感じるのです。

「できるか、できないか」ではなく「やるか、やらないか」

私が以前勤務していた慢性期病院は、約10年前に回復期病棟を立ち上げたものの、特にこれと言ったウリもなく、その頃は「でっかい老健」だのと、あまり良くない代名詞がついていました。おりしも、バリバリの救命医だった40代の若手副院長が院長に就任。停滞する慢性期病院の空気に何とか新しい風をと、院内のあらゆる現場の意見を集約し、いわゆる三役の合意で様々な挑戦が始まりました。

先ほども述べたように、改革には大きな力が必要です。洗濯機の水流を逆回転させるように、これまでずっと動いてきたものの方向を変えるには、かなり大きな原動力やインパクトが必要となります。経験のない私が、人事採用専属の特命を受けたのも、そんな挑戦の一つでした。当然のことながら既存体制からの声高な批判も激しい抵抗もありました。しかし、熱い新院長に躊躇はありませんでした。現状が停滞していて変化が必要ならば「できるか、できないか」ではなく「やるか、やらないか」。実行あるのみです。

成果が見え始めたら次は、権限移譲の段階へ

かくして病院は大きく動きました。ベッド稼働率も医療の質も格段に上がり、人事においては単なる採用にとどまらず、その人材の定着や教育にも乗り出し、かなりの成果を上げました。

成果が見え始めたら、改革は次の段階へ進みます。改革は新しい流れを作るだけで終わりではありません。新しい流れを定着させなければ、振り戻しがあっては意味がない。新しい水流が大きく渦巻きだしたら、あとはできるだけ早く人に依存しない運営にシフトしていかなければなりません。人が成長していくように、組織も運営も成長に伴い形を変えていく必要があるのです。そして、その改革のもとになった「みんなの意見の集約」の大元である職員にそのかじ取りを任せていく、つまりは次の権限移譲の段階に移行するのです。

自発的、積極的により良い改善を創造し続ける思考へ

院長は経営トップであると共に、現場の臨床で働くプレーヤーでもあります。普通の企業ではマネジメント層が現場と一緒に動くことはほぼないのですが、医療業界はある意味特殊な環境であるかもしれません。現場で臨床の最前線を共にする新院長の行動力は、職員の士気を大きく上げました。しかし、職員がそれぞれに様々な改善やアイデアを実践し始めた矢先のこと、大きな問題が発生しました。突然の人事異動により強力な典型的トップダウンの役職者達が三役に立て続けに赴任して来たのです。そして、次の段階にシフトしようとしていた院長の目の届かないところで、またも上意下達、指示命令支配型の組織運営を復活させてしまったのです。途端に、せっかくの新しい水流は見る見るうちに勢いを失っていきました。残念ながら、この病院では、改革は一瞬で頓挫してしまいました。

改革は、全体を俯瞰し徹底して合理化、効率化を図り、本質的核心的な大きな方向の舵を切る必要があります。そして、動力がある程度一定の方向に集約してきたら、今度は目的や情報を隅々まで周知徹底し、それぞれが業務の意味意義をよく理解し、自発積極的によりよい改善を創造し続ける「自律進化型の思考」を定着させる必要があるのです。「自立」ではなく「自律」それぞれが自らコントロールできる思考と実践です。

つまりは、カリスマ性のある強いトップがいなければ動かいない仕組みではなく、社員一人一人が自分で考えて気づいて行動することができる組織を作っていくのです。

トップリーダーは組織の成長に合わせて変化すべし!

あの日産の大改革「日産リバイバルプラン」は、その実は塙前社長が社内の意見を集約して立案した計画がもとになっているともいわれています。もし、ゴーン氏がその推進力を機を見て自分の手から、それぞれ信頼する社員一人一人に権限委譲し託していたら・・・。つまり、ある程度のところまで来たら、カリスマ性のあるトップダウンのリーダーは、自分自身もあり方を変化・修正するか、裏方に撤しなければならないということです。

改革の最終目的は組織の「永続的自律進化」

改革の目的の一つは、マイナスからプラスへの変化、目に見える利益の向上だけでなく、最終的には「組織の効果性」いわゆるチームで目標を達成する力、構成員やチームの潜在力の発揮、環境の変化に適応し対処する力を育て続けるということです。

カリスマ的なトップダウンのリーダーシップは、きっかけ、起爆剤に過ぎません。改革は、トップ一人に依存しない「自律進化組織」を創り永続させていく継続的な終わりのない挑戦なのだと思うのです。

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