まずは「受容」。それから言われた事を「咀嚼」し、「行動」に繋げる

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まずは「受容」。それから言われた事を「咀嚼」し、「行動」に繋げる

アンケートなどを取って検証したわけではないですが、上司と部下が会話をしている際、「どちらが話している時間が長いか」を調べてみれば、7対3ぐらいで上司に軍配が上がるのではないかと思います。

理由は明確です。「上司の方が話術の経験が豊富」だからです。また、上司の方が「仕事の経験も豊富」だからです。そして、上司は「教える人」の立場であり、部下は「教わる人」の立場だからです。

「聴き上手」になる

よく電車で、明らかに上司と部下であろう二人連れと遭遇することがありますが、上司が手振りを交えて語り、部下が上司の口調に合わせ頷いたり相槌を打ったりする、という会話パターンが多いようです。

上司の方が話をしている時間が長く、しかも話の中心が「教えること」なのであれば、上司は当然「話すことも教えることも上手」にならなければなりません(書店のビジネス書籍の棚にはそれを実証するべく上司が読むべきタイトルの本、「リーダーの会話術指南書」「教えるスキル紹介本」の類が数多く並んでいます)。

一方、部下は「聴き上手」になることが望まれます。
このコラムでも、「よい聴き手になる」ことの重要性は再三述べてきました。繰り返すことになりますが「よい聴き方」とは、「相手の気持ちに寄り添って、ともかく受容すること」です。反論があっても、まず相手の意見は受け入れること。

「今、主任はこういう『内容』をこういう『気持ち』で伝えているのね」と「内容と感情の両方について理解」することが重要なのです。言葉尻だけに反応し、相手の話の主旨を勝手に忖度して反論をすれば、必ず「言い争い」に発展します。

このコラムで「話を聴く」ことの重要性を繰り返すのは、コミュニケーションにおいて、それが最も「しなければならないこと」なのに「できていないこと」だからです。

相手の話を聴けていれば、上司と部下のコミュニケーションのトラブルは、九十パーセント以上解消できると断言してもいいと考えます。

意味不明な上司の話

しかし、いざ上司の話を今まで以上に注意深く耳を傾けてみると、「何を言ってるのかよくわからない」部分が結構あることに気づきます。「話術の経験が豊富」であっても、「きちんと伝わる言葉で話せる」上司は案外と少ないものなのです。そして、「なんだかよくわからない」話し方をしているくせに「ちゃんと相手に伝わっている」と思っているから始末に悪いのです。

「何を言ってるのかよくわからない」とは、たとえば、こんなフレーズです。

【院長と事務長の会話】
「さっき医療コンサルタントのAさんから話があったが、B病院も、しっかり斬新に改革してきたらしいぞ。見習わなきゃな」と院長。
「も」や「しっかり斬新に」がわかりづらいですね。こちらとB病院ではどちらをAコンサルタントは評価しているのか。「も」は同等のときに使う係助詞ではないのか。同等なのに「見習う」のか。「しっかり」とは当院の改革よりも優れているという意味か。「斬新」とは、どのような意味合いでどのようなレベルを言うのか。

このように、普通に聞いていれば別におかしくなさそうなフレーズも、よく聴けば「どうとらえたら良いのか判断しづらい」場合が意外に多いのに気がつきます。これがあとあと「言った、言わない」に発展してしまうことも十分にありえるのです。

あなたの上司が「きちんと伝わる言葉」を持たない場合は、ひとつひとつのフレーズ、文脈などをかなり細かく咀嚼する必要があるでしょう。

「受容」し、「咀嚼」やいくつかの「質問」により相手の話の意図、内容が十分に伝わってきたら、行動に移るわけですが、さきほどの例で言えば、「質問」し「咀嚼」したところ、事実は下記だったのがわかりました。

「コンサルタントのAさんの話では、わが病院の改革も悪くはなかったが、あまり期待していなかったB病院はさらに良かった。それは○○の部分の発想が新しく、わが病院の提案にはないもので、Aさんもまったく思いつかないものだった。Aさんが評価していたのはその点で、そういう発想をすることを見習った方がいいと言っていた」

上司の伝えたいことは理解できたものの、この後どう行動したらよいのかは判断がつきづらいところではあります。けれども、上司は「次の部下の取る行動も伝わっているはずだ」と思っている可能性が高いのです。
・B病院を見習って、わが病院も改革に再チャレンジするのか。
・B病院の脅威は認識しつつ、静観するのか。
さらに上司に「質問」と「咀嚼」をし、行動を明確化しなければなりません。

上司は舌足らずで、どうとらえたら良いのか判断しづらい言葉で話すものだ、と最初からそう思って会話に臨んだ方がいいかもしれません。そして「受容」し「咀嚼」して話の本質を明らかにすること。
面倒ですが、仕事をスムーズに発展させていくには、あるいは上司に「頼れる部下」と感じさせるには、これを繰り返すしかないように思います。

急がば回れ、ということですね。

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