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なぜ、あなたは「終わらせる」ことができないのか?

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なぜ、あなたは「終わらせる」ことができないのか?

4月になると、さまざまな企業が新年度を迎え、部署の再編や人の異動が行われます。病院やクリニックでも、大手企業のようなドラスティックな組織の変革や人事異動が実施されることはあまり見られないながらも、新任の管理職が誕生したり、それまでと違った役割を任されるスタッフが配属されることはよく見られます。

ある総務課長の場合

当然のことながら、これまでと違った部署に配属されたり、役割が変更になった場合、その人には意識と行動の両方に大きな変化が求められます。

最近、私が研修の仕事でお世話になっている中堅病院の総務課長は、去年の3月までは財務経理業務を主に担当していた一般職員で、その前、つまり病院に就職する以前の勤め先は地方銀行でした。
根っからの経理マンだった彼が、4月に「人事、採用、研修などの組織活性化」を主業務とする総務・人事の新任課長として上司から昇進異動を告げられたのです。異動と言っても、同じ事務部に所属していることは変わりませんから、課長に就任したとたん、役割がガラッと変わったということになります。

去年の4月、初めて私と顔を合わせたときに、こう語っていました。
「これまで、ずっと資金繰りや給与計算のようなことばかりしていたのが、まったく経験もしなかった『人』の問題を扱うことになり、正直戸惑っています。これまでとはまったく異なった能力やスキルが求められているのをひしひしと感じます。まだまだ、全然模索状態で、何から手をつけたらいいのかわからない、という状態です」

さらには、これからは管理職ですから自分の下に部下が付きます。マネジメントの経験はもちろん初めてで、新しい業務を覚えるよりも、部下を管理する方に不安を感じていますとも言っていました。

「終わらせること」「始めること」

この課長さんのみならず、多くの新任管理職の方は、新しい部署で的確に業務を遂行するための知識や技術を十分に備えていないから不安だ、と感じているのではないでしょうか。
また、マネジメントの経験なく、その訓練も受けていないという方も多いと思います。
「いや、仕事はわからない、突然部下ができた、経験したことないことばかりで大変ですよ」と、吐息をつきながら語る新任管理職の方を何人も目にしてきました。

さて、ここで一番大切なことは、「自分は何を終わらせるべきか」と、「何を始めるべきか」の検証だと思います。
つまり、意識と行動をどうシフトさせていくかです。

部下はしっかり見ている

自分が一歩上の職位になり、これまでとは違った仕事の環境に身を置かざるを得なかったとき、どこに目が行きますか?
おそらく、ほとんどの方が「新しく始めなければならないこと」に意識が向いてしまうと思います。
前述した病院事務課の新任課長さんもそうでした。
 
昇進し、管理職になったにも関わらず、彼の行動や視点は以前のプレイヤーであった状況とほとんど変わりません。
「本来、新人がやるような細かい業務まで自分でやってしまう」、「新しい部署の仕事の具体的な内容ばかりに目が行き、課全体を俯瞰して見られない」、「部下に仕事を与えても、細部にまでわたって口出しをしてしまう」
というようなことです。

つまり、彼はそれまでの1プレイヤーである自分を「終わらせる」ことができないのです。

そのうち、彼の下につく部下たちから不満の声が挙がるようになりました。
「いつも忙しそうにしていて、私たちの話を聞こうとしない」
「任せる、と言いながら細かいところまで口出し、結局自分の想い通りにやらなければ気がすまない」
「もっと全体の状況をきちんと把握してから動いて欲しい。むだな行動が多く、掻き回される」等々・・・

看護主任Aさんのケース

このような「上手くマネジメントができない」新任管理職の人たちからコーチングの依頼を受けることが良くあります。
そのほとんどが、管理職ではなかった頃の自分を引きずり、「終わらせられない」方です。ある病院の主任看護師Aさんの場合もそうでした。

Aさんは「非常に優秀な看護師です」と看護部長が太鼓判を押す人物です。
ですが、Aさんの仕事のやり方を見ると、まさに「何でも自分でやってしまう」「同僚、後輩の仕事の細部まで自分が細かく確認しないとOKを出さない」のオンパレード。

常にハイテンションで、同僚や後輩は彼女の機嫌をおそるおそる確認しながら仕事をしているといった感じです。
「すごく尊敬する先輩ですけど、同じようにやるのは絶対私には無理。とても私には主任は務まらないし、なりたくもない」というような評価というか感想が聞かれます。

彼女のコーチングではまず、これまでの自分を終わらせ、以下の自分を始めましょうという提案をしました。
「人にどんどん任せ、ポイントだけをチェックする」を始める。
「すぐに教えるのではなく、相手に考えさせる」を始める。
「次に主任になって欲しい人を育てる」を始める。
この3点を意識し3か月行動してみるというものです。

ほどなくして彼女の方から「気づいたことがあります」と報告がありました。
どんな気づきですかと尋ねると、「私がやらなくても仕事って問題なく動くものなんですね」と何か拍子抜けしたような、それでいて吹っ切れたような顔で話してきました。
それまで、真っ直ぐな視点でしか物事を捉えることしかできなかったAさんが、俯瞰して職場を見ることができるようになったのだと私は合点し、「それは素晴らしい気づきですね」と返しました。
(医療コミュニケーション協会 須田)

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