「リフレーミング」の効果

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「リフレーミング」の効果

リフレーミング(あるいはリフレーム)は、NLPという学問(心理学)から導き出されたセラピーの技術の1つですが、心理カウンセリングの世界のみならず、一般的なビジネスの世界や医療現場、教育の場でも、目標達成やコミュニケーション改善等のツールとして数多く活用されています。

NLPについて

まず、NLPについて少しご説明しましょう。
NLPはNeuro Linguistic Programingの略で、日本語に訳せば、「神経言語プログラミング」となります。1970年代にアメリカ カリフォルニア大学の二人の心理学者、ジョン・グリンダ―博士とリチャード・バンドラー博士によって開発された学問で、三人の先駆的なセラピスト(催眠療法のミルトン・エリクソン、ゲシュタルト療法のフリッツ・パールズ、家族療法のバージニア・サティア)の手法を徹底的に分析研究し、セラピー、カウンセリングの卓越したスキルとして体系化されたものです。

脳のコントロール(神経)、言葉や身振りの表し方(言語・非言語)、思考や行動パターンの改善(プログラミング)の3つの領域を取り扱い、「意識」だけではなく「無意識」をも自在に操ることで、前向きで望ましい姿に導くことを目的としています。

自分自身と良好な関係を築く

NLPには多様な形態の実践的なスキルが存在しますが、通底しているのは自分の脳を思い通りに使いこなすことで「自分自身と良い関係を作る」「なりたい自分になれる」といった、自分自身に対するセラピー効果を高めることにあります。そして、それにより、人に対しても良好な関係性が導き出せるという効果を発揮できるというものです。

今回ご紹介するリフレーミングも、その目的に適ったNLPのツールなのですが、リフレーミングを紹介するときによく使われるフレーズ「一瞬で世界を変えることができる!」といった、いささか大げさと感じられる謳い文句は、実はこのツールのパワフルな機能を的確に表しているのです。

肯定的に変化させる

それではリフレーミング、つまりフレームを変えるとは、どのようなことなのかを説明しましょう。
一言で述べれば、「物事の見方を変えることで、気持や感情に変化を起こさせる」ということになります。

私たちの協会では、日常的に起こりうるさまざまなコミュニケーションの問題を取り扱っていますが、物事のとらえ方、見方が変わることによって今の気持がポジティブにもネガティブにもなる、ほとんど対極的と言っていいほどに感情が大きく変化することに着目してきました。

たとえば、同じ疾患に罹り入院している患者さんが二人いるとしましょう。Aさんは、病気に罹ってしまった理不尽さと運のなさを嘆き続け、いつもイライラしています。看護師に対しても感情的に接することも少なくありません。

ところが、Bさんは、入院当初はAさん同様に病気になってしまったことを不幸な事態ととらえていましたが、「もしかすると、身体が『少し休ませてくれ』と訴えているのかもしれない。このまま突っ走ったら死んでしまうぞ、というメッセージなんだ」と考え方を変え、「無理していた身体をメンテナンスするチャンスだ」と思うようにしました。すると、治療に対する気持も前向きになり、この機会に今まで時間がなくて読めなかった本を集中的に読むことができるようになりました。

涙の意味

もう一つ、事例を挙げてみましょう。
ある病院の看護部長が、部下の看護師から相談を受けました。この看護師は若くてとても仕事に熱心なのですが、昨日、一人の男性患者から手ひどい言葉の暴力を受けました。いつもなら、何とか笑顔を保ち、相手の気を鎮める努力をするのですが、その日はとても忙しく気が急いでいたせいか、つい感情的になり、患者を叱りつけてしまったのです。
「部長、わたしは看護師失格です。患者さんの気持ちに寄り添えていません」
そう言って、若い看護師は涙を流しました。

その相談を受けた看護部長は、「あの患者さんは、みんなが手を焼いているんだから仕方がないわよ」というような、通り一遍の励ましの言葉をかけるのではなく、次のように言ったのです。
「その涙から、私にはあなたが看護師として真剣に患者さんに寄り添おうと考えていることが、ひしひしと伝わってくるわ」
この言葉を受けた看護師は、はっと何かに気づいたような表情を見せ、さらに泣き続けましたが、その涙の意味は、前と大きく変わっていました。

ここで挙げた2つの事例は、前者が「自分に対して」そして、後者が「人に対して」リフレーミングを試みたものです。後者はまさに、一瞬のうちに「世界が変わった」のです。

人間には、十人十色の性格があるように、心のあり方もさまざまです。先ほどの患者の事例でもわかるように、二人の人間が同じような辛い環境に身を置いていても、それぞれまったく異なったとらえ方、感じ方をするものなのです。何に対して意識を向けるか。その意識の向けどころによって感情の持ち方も変化します。
意識の向かう先を変化させるリフレーミングに関しては、当協会の開催するセミナーで、さらに詳しく実践的なワークを交えて紹介します。興味のある方は、ぜひお問い合わせください。(医療コミュニケーション協会 須田)

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