お役立ちコラム

部下のモチベーションを上げようとすればするほど、コミュニケーションは円滑に進まず、関係性は悪くなる。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

部下のモチベーションを上げようとすればするほど、コミュニケーションは円滑に進まず、関係性は悪くなる。

「部下のモチベーションを上げることに日ごろから気を使うようにしています」という、医療現場のマネージャーたちから多くの声が寄せられてきます。モチベーションに気を使うことは、本当にそれほど重要なことでしょうか?

「上司が部下のモチベーションを上げる」その発想が、そもそも間違い

Aさんは慢性期疾患の患者さんを多く抱える中堅規模病院の看護師長です。Aさんがマネジメントで最も重要だと考えているのは15名ほどいる部下の看護師たちのモチベーションを高めること。なぜ、そのような志向のマネジメントになるかといえば、モチベーションを常に高くキープしていないと職員満足度が低く離職につながる、その苦い経験を数多く積んでいるからです。
どうやら、Aさんの頭の中では「部下のモチベーションは上司が高めるもの」という認識があるようです。
モチベーション、つまり、仕事に対する「動機付け」や「やる気」は「他人から与えられるもの」なのでしょうか。そもそも、そこが間違いなのです。

なぜ、指示待ち部下になってしまうのか?

離職を恐れて経営者もしくは上司が常に待遇の改善を図り、モチベーションを上げるのに腐心する。それを繰り返していると、職員たちの意識は「病院がモチベーションを与えてくれないと頑張る気が失せる」という状態になります。
この状態が大量の「指示待ち職員」を生み出すことに繋がります。
「仕事」も「やる気」も、上が与えるべきものという、冷静に考えれば本末転倒な事態が常態化していくのです。
別に医療機関に限ったことではなく、一般企業でも非常に多く見られる現象ですが、その背景には多かれ少なかれ経営者や管理職の「部下に辞められては困る」という事情があるようです。
「辞められると困るから、部下には常にモチベーションをキープしておく状態にする」
Aさんも、もしかすると上司に「これ以上職員に辞められるのは困るから、あなたが部下たちのやる気を損ねないよう努力しなさい」というような事を言われているのかもしれません。

モチベーションは頑張るための根拠ではない

「モチベーションとは上司が部下へ与えるもの」との考え方に立ってしまうと、モチベーションイコール「頑張る根拠」となってしまいます。「上司が何も指示を出してくれないからできない」「病院がモチベーションを与えてくれないから、やる気が起こらない」「もうちょっと、こうしてくれるとモチベーションが上がるんだけどなぁ」等々。
これらの部下の意見は、自分が属している組織に対する批判であり、上司への評価です。
ここは、声を大にして言いたいのですが、一般職員に批評されたり、評価されたりすることが日常的に許されるような組織風土にしては絶対にいけません。
時に、上司は「部下が納得しづらい」仕事をやらせることが必要な時もあります。当然部下のモチベーションは下がるでしょう。その時、「なぜ、この仕事わたしがやらなくちゃいけないんですか」「この仕事、やる必要あるんですか」というような批判もしくは拒絶反応が出るとすれば、その職場はモチベーションの弊害に犯されていると言ってよいでしょう。
挙句の果てに、「部下に頼んでもやってくれないから結局わたしがやるしかない」とただでさえ忙しい上司が髪を振り乱して頑張るというような状況になってしまいます。
そのような上司の姿を見て、部下たちは「私たちも、ああなりたい」と思うでしょうか。
いろいろな医療機関の若手の看護師たちに「主任や師長になりたいですか」と質問をすると、多くの人が「なりたくない。大変そうだから」と答えるのです。

上司は支援に徹すること

モチベーションそのものを否定するつもりはありません。問題は、それを「他人が与えるもの」ととらえてしまうことなのです。モチベーションは「自分が自分へ与えるもの」です。
「今の自分はここまでのスキルしか持っていない。でも、今年中にあそこまでできるようになりたい」と自らを動機付け、それが果たせたときには成長を実感できるはずです。「自分はここまで成長した」まさにその実感こそが、次はあそこまで行くぞ、とのモチベーションにつながるのです。
上司がおこなうことは、部下が自分で課題を認識し目標を達成するためのプロセスを支援することです。部下のやる気を出させるための口当たりの良い言葉など必要ありませんし、ましてや部下が嫌がりそうな仕事を代わりにやってあげることでもありません。そんなことをしていては、両者のコミュニケーションは必ず不毛になりますし、関係性は悪化してしまいます。
部下に寄り添い悩みや気づきを共有し、自らは支援に徹する。それこそが上司の正しい姿なのです。

私たちが目指していること

私たち日本医療コミュニケーション協会は、医療現場が抱えるコミュニケーションの課題をさまざまな角度から採りあげ、月例の勉強会や様々な資格講座を通して改善の方策を検証し、医療に従事する方々のコミュニケーションスキルの向上を図ることを目的としています。ご興味のある方は、ぜひ以下ページよりお申込み/お問い合わせください。(日本医療コミュニケーション協会 須田稔)

お申込み・お問い合わせ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP